体温が高いかどうかを知りたい場合は、まずその人の平熱を知る必要がありますが、
人にはそれぞれ独自の「平熱」があり、これも 1 日を通して変化します。
深部体温に関連する値を測定し、深部体温を算出しています。
直腸での測定は、深部体温を決定するのに最も正確で信頼性がありますし、口腔および腋窩も便利で優れた方法といえます。
赤外線温度計の基礎
したがって、深部体温に関連する値が確実に得られる体の部位を測定することが重要です。
耳穴式の検温
耳穴式の検温計には、測定部の先端にサーモパイル センサーが使用されています。
大人用、赤ちゃん用、ペット用さまざまなサイズがありますが、
特に赤ちゃん用の耳穴式検温計は耳道が小さいため先端のセンサーも小さくする必要があります。
センサーが小さいほど一般的に信号が少なくなりますので、
より安定した高度な回路が必要になります。
耳道内の温度は、周囲の空気からある程度離れているため、
周囲の影響にさらされている額の皮膚よりも安定しています。
研究によると、耳の中の温度と深部体温の間には直接的な関係があることが示されていますので、
深部体温は感知された耳内温度から計算できます。
これらの理由により、耳穴式検温計は額の検温計や集団発熱スクリーニング装置と比較して、
信頼性の高い赤外線検温計になります。
耳穴式検温計のメリット
-センサを肌に近づけて配置するため、周囲温度の影響をほとんど受けない
-1秒未満の高速測定
-正しく適用された場合の、最も信頼できる赤外線検温
耳穴式検温計のデメリット
-測定は正しいスポットに向けておこなう必要があり経験が必要
-額式検温計での測定よりも利便性で劣る
-ゴミや汚れがあると正しい温度値が取得できない
額式検温計
センサーにレンズを装着して測定を可能にすることができます。もう 1 つの方法は、8×8 または 16×16 のような低解像度のサーモパイル アレイ センサーを使用する方法です。
額全体を一度にスキャンでき、30cm~1m程度の距離で測定できます。
また、深部体温算出のためにホットスポットを検出して特定することもできます。
この場合、最高精度の結果を得るには個々のピクセルができるだけ小さい領域となっていることが重要なため、
視野がかなり狭い光学系が必要です。
1m 以上の距離のある測定は正確な測定結果を得るために大気による赤外線吸収の影響を特に考慮する必要があります。
額式検温計のメリット
何も挿入する必要がないので利便性が高い
数秒でおこなえる高速測定
感染症伝播のリスクが非常に小さい
額式検温計のデメリット
測定精度は正しい測定位置に依存する
周囲温度変化の補償が必要
高いコスト
推奨センサー
・SSVシリーズ
・HMSシリーズ
・HTPAシリーズ
発熱スクリーニングと高温スクリーニング
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、発熱スクリーニングシステムが注目されています。
このようなシステムは人が行き交う公共の場所、
例えば空港、オフィスビル、学校、バス、地下鉄などの公共交通機関への設置が適しています。
また、劇場、映画館、イベント会場では発熱スクリーニングが安全対策として役立ちます。
発熱スクリーニング システムは、セキュリティ ゲートやチェックポイントを通過する人々の体温を検出するように設計されており、
人の体温を測定するために、システムには空間分解能を持つ熱センサーが装備されています。
32×32 または 80×64 ピクセルのサーモパイル アレイセンサーはこれらの検出に十分適用できます。
スクリーニングシステムは額を識別し、その最高温度を測定するものです。
しきい値設定により、測定結果からその人物が発熱の疑いがあるかどうかを即座に判断できます。
正確性を高めるためには、一般的な体温計でその人物を再検査をおこなってください。
「正常な体温」は人によって異なるため、しきい値は重要なパラメーターです。
しきい値が低すぎると熱がなくても疑われる人が多くなりますし、
逆に高すぎると発熱している人が検出されない可能性があります。
パンデミック時にウイルスの拡散を制限する際には、低いしきい値を設定し手動で再チェックする方法が良いです。
しかし通常は高熱のみを検出するだけで十分なので、高いしきい値設定にすることが良いでしょう。
実際の発熱スクリーニングの他に、高温スクリーニングと呼ばれる別の方法があります。
この場合、人の体温は最後の 10 人または 20 人の乗客と比較され、
体温が平均体温よりも高い場合は、医療用体温計で再チェックします。
この方法は非接触体温測定に対する周囲条件の影響を軽減するため、
より信頼性の高い発熱検出を実現するのに役立ちます。
スクリーニング検温のメリット
-多くの人々を迅速に測定するため長い列や遅延を避けられる
-測定システムとの接触がないため、感染が伝播しない
スクリーニング検温のデメリット
-基本的に、耳穴式検温計や額式検温計ほど正確ではない
-陽性または陰性を誤検出する可能性がある
-精度向上のために陽性疑いのある人物を二次スクリーニングする必要がある
引用元:https://www.heimannsensor.com/body-temperature