開発事例:サーモパイルアレイセンサーを使用した検温デバイス

社内検温で活躍中
サーモカメラモジュールを使用した検温デバイス
<ラズベリーパイでおこなった開発事例>

 

はじめに

昨今ではコロナウイルスの影響により、多種多様な検温機器を見かける。その多くは非接触型のもので、手首で計測するもの、額で計測するもの、またデバイスの前を通り過ぎるだけで検温が終了しているというものまで存在する。非接触型の検温に共通していえることは素早く・簡便に測定できることだ。人の流れを長く停滞させることなく検温できることが最も期待されている要素であり、普及した要因だといえる。エスエスシーでは非接触温度センサーを主に取り扱っているため、検温用途の問合せは増えており、革新的な技術を取り入れた検温デバイスの案を見ることも多く、そのたびに驚かされる。

本ページではそんな世の中の需要に応じる形で、サーモカメラモジュールを使用した検温デバイスを社内向けに開発した際の内容を記し、開発事例として知ってもらうことを目的としている。サーモカメラモジュールを検温用途で検討する際は一読していただきたい。

 

 

サーモカメラモジュールとは

サーモカメラモジュールとはエスエスシーが開発した非接触温度計測モジュールのことで、センサー視野内の温度を分割して計測することができるものを指す。モジュールから出力される温度データを利用して温度異常の検知やサーモグラフィの構築が可能で、多様な用途に使用できる。センサーはサーモパイルアレイセンサーを使用しており、サーモカメラモジュールはセンサーのみで使用することが障害となっているユーザーに向けた製品でもある。
今回の検温デバイスでは少し距離の離れた検温が可能なサーモカメラモジュール”SSV32x32-02”を使用してデバイスを構築した。
(参考:サーモカメラモジュールSSVシリーズについてYoutube動画

 

 

 

 

検温デバイスの構築内容

検温デバイスはサーモカメラモジュールが出力した温度データをサーモグラフィ化し、小型カメラの画像と重ねてモニターに表示している。人の顔が近づくとカメラの映像からAIが顔の輪郭を判断し、額部分に相当する数ピクセルの温度データを平均化、体温相当の値に変換して検温を実現している。検温が完了すると自動でタブレットのLINEアプリに検温時の画像と温度データが送信される。

モニター上部にモジュールとカメラが設置され、モニター背面にラズベリーパイが組み込まれている。

額の表面温度を体温換算するアルゴリズムは、過去に開発した検温器のノウハウを使い取り入れた。
顔の輪郭を検知するAIは一般的に公開されている画像処理ライブラリ”OpenCV”を使用しているが、検出精度を上げると検知率に個人差が発生し、検出精度を下げると顔以外を誤検知することが多かった。そのためOpenCVの検出精度を下げつつ、SSVから出力される温度データと照らし合わせ、人の体温以外の箇所を除外する処理を入れる工夫を行った。それでも尚、顔の角度やマスク等により検知がうまくいかないこともある。

 

 

試作開発ツールの提供

エスエスシーではサーモカメラモジュールSSVのラズベリーパイ用サンプルコード(検温向けではなく、温度情報の取込と熱画像表示)を公開しています。試作開発を検討しているユーザー様に好評いただいていますので、開発検討の際にはご相談ください。
開発のアドバイスも可能なため、お気軽にお問い合わせください。

 

<記:営業部 渡辺>

 

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